一ヶ月遅れの話で恐縮。去る10月30日、久々にテレビ朝日(道内はHTB)の「朝まで生テレビ」を見た。
話題は小林よしのりの「戦争論」。本人参加のもと、例によって傾聴すべき意見、バカな意見入り乱れる混戦模様となったが、肝心の「戦争論」の中身についてのきちんとした批評はまったく聞けなかった。あの番組にそれを期待するのは無理かもしれないが、読まずに参加しているメンバーがいたらしいのはもってのほかである。しかし、ここで言いたいのはそれとは別のことだ。
番組の終わりに、「大東亜戦争を肯定するか」という視聴者向けのアンケート結果の発表があり、「肯定する」45.8%、「否定する」38.1%という数字が出た。私はいわゆる「平和主義者」ではないから、肯定派が優位を占めたことにあせりを感じて難癖をつけようというのではないし、いわんや「国家主義者」でもないから、この結果に快哉(さい)を叫ぶ気持ちもさらさらない。私が言いたいのは、近代戦争のように人間生活のすべてを巻き込む巨大な事象に対して、「YES or NO」の二者択一を迫るような質問を設定するテレビ的デジタル思考の愚劣さについてである。
こういうプレゼンテーションに単純な人々はひっかかりやすい。というよりも、物事はそう簡単に決せられるものではないという健全な現実感覚を押しつぶすような設定に、一般の人を強引に誘い込む機能しか果たしていないアホらしさを、マスコミはどこまで自覚しているのかということだ。
後発近代国家・大日本帝国の総決算としての十五年戦争に対して、その複雑多岐にわたる歴史的な各局面について共通了解を得ようとする努力もふまずに、どうして肯定か否定かを問う単純ゲームが成り立ちえようか。歴史認識を単純ゲーム化できるという能天気ぶりこそ現在を象徴している。平和でカラッポなんだね。